輸入仕入の発注担当にとって、発注量の計算はゴールではなく、パズルの始まりです。商品ごとの必要量を出したら、次はそれがコンテナに収まるのか。収まらないなら何を削るか。半分しか埋まらないなら何を足すか、それとも次の便まで待つか——。
この「積み合わせ」を毎回数時間かけて手作業で解いている方に向けて、需要の計算とコンテナの制約を同時に織り込んだ発注リストの作り方を解説します。
やりたいことの整理
「コンテナに収まる発注リスト」の要件は、次の4つです。
- 出発点は商品ごとの必要量:積載率から発想せず、売れ行きに基づく必要量から出発する
- コンテナの制約(容積・重量)を守る:計算結果が、物理的に積める形になっている
- 削る・足すの判断に基準がある:収まらないときは在庫に余裕のある商品を後の便へ、余るときは近い将来必要になる商品の前倒しで埋める
- 長いリードタイムを織り込む:数週間〜数カ月先を見た必要量計算と、積み合わせが一体になっている
手作業で苦しいのは3です。「削る・足す」には全商品の在庫の余裕度と売れ行きの知識が必要で、判断の質が担当者の経験に完全に依存します。
手作業でやると、こうなる
典型的な手順は、①商品ごとの必要量をExcelで計算、②体積・重量を掛け算してコンテナ容量と比較、③オーバー分を「経験と勘」で削る、④スペースが余れば「埋められる商品」を探して足す、⑤再計算——の繰り返しです。
この運用の代償は3つあります。時間:便のたびに数時間の調整。フォワーダーとのスケジュール変更があれば、やり直しです。在庫:④の「埋め草」が在庫の山になります。コンテナ効率を上げるほど在庫効率が下がる、という二律背反に見えてしまうのが手作業の限界です。属人化:何を削り何を足すかの判断は引き継げず、担当交代のたびに精度が落ちます。
「α-発注」での実現方法
設定:コンテナ・混載の条件を登録する
コンテナの種類・積載の考え方・混載の単位など、貴社の輸入形態に合わせた制約条件を設定します(→仕様の詳細はコンテナ・混載ケースへの発注割付)。あわせて商品ごとの入数(→ケース単位の調整)や仕入先ごとの金額・重量条件(→最低発注金額・重量ルール)も登録しておくと、多重条件が同じ計算で処理されます。
毎回の発注:需要と「箱」を同時に織り込んだ案が出てくる
発注リストは、商品ごとの必要量(需要予測ベース)を土台に、コンテナ制約に合わせて調整された形で出てきます。調整の方向に基準があるのがポイントです。
- 収まらないとき:在庫に余裕のある(緊急度の低い)商品を後の便に回す方向で調整
- 余るとき:もうすぐ必要になる商品の前倒しでスペースを埋める方向で調整
「埋めるための発注」が「将来の発注の前倒し」に変わるため、コンテナ効率と在庫効率の二律背反が緩みます。長いリードタイム分の需要予測・安全在庫・前倒しも同じ計算に含まれるので、「積み合わせ」と「先読み」を別々に悩む必要がありません。
人がやること:案の検証と確定
ゼロからのパズルが「案の検証」に変わります。削られた商品・足された商品の根拠を確認し、商売上の事情(拡販予定・終売予定など)があれば調整して確定します。船のスケジュール変更は、発注カレンダーとリードタイム設定の更新で計算に反映されます(→発注サイクル・カレンダー設定)。
活用イメージ:40ftコンテナ月2本の積み合わせを自動化した輸入リビング用品商社
輸入リビング用品商社のY社(商品点数 約2,500、中国・東南アジアから40ftコンテナを月2本、リードタイム約2カ月)のモデルケースです。
導入前:便のたびにExcelで体積計算と削る・足すの調整を繰り返し、担当者1名が丸1日がかり。スペース埋めで足したかさばる定番品が倉庫に積み上がり、一方で削った商品の欠品が数カ月後に響く、という後悔が繰り返されていました。
導入後:コンテナ制約と商品ごとの体積・入数を設定に登録。発注リストは「収まる形」で出てくるようになり、担当者は削減・前倒しの根拠を確認して確定するだけに。スケジュール変更時もカレンダー更新で再計算できるようになりました。
変化:便ごとの調整作業が丸1日から大幅に短縮。埋め草だった商品が「前倒し」に置き換わったことで、コンテナの積載効率を保ったまま在庫の山が徐々に低くなり、削りすぎによる数カ月後の欠品も減りました。
よくある質問
Q. 体積で制約がかかる商品と、重量で制約がかかる商品が混ざっています。 A. 商材によって効く制約が違うのは輸入実務の定番です。貴社の商品構成でどこまで設定で表現できるかは、無料運用診断の中で確認します。
Q. 複数の仕入先の貨物を1本のコンテナに混載しています。 A. 混載の単位・組み合わせの考え方を伺いながら、設定の形を導入時に確認します。まずは現在の積み合わせ調整の実際をお聞かせください。
Q. 船のスケジュールがよく変わり、発注のやり直しが多いのですが。 A. スケジュール変更は発注カレンダー・リードタイムの設定更新として反映され、リストは新しい前提で再計算されます。「変更のたびにExcelを組み直す」作業自体がなくなります。
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