発注のタイミングには、「計算上の正解」と「現実の都合」のずれがあります。
計算上は来週頼めばいい商品でも、仕入先が来週から連休なら、今週頼むしかない。計算どおりに発注すると入荷が月曜に集中して倉庫が受け入れきれないなら、一部を前の便に寄せるしかない——。「α-発注」は、この「先に頼んでおく」調整を、発注の前倒しとして計算の中で扱います。
この機能が解決する課題
- 連休・休業の前に「どの商品を、どれだけ先に頼んでおくか」を毎回手作業で洗い出している
- 入荷が特定の日に集中し、検品・棚入れの現場がパンクする(そして翌日は暇になる)
- 前倒しの判断が担当者の経験頼みで、頼み忘れによる連休中の欠品が起きる
できること
休業をまたぐ分の、自動前倒し
仕入先の休業期間(→発注カレンダー設定)を登録しておくと、休業中に必要になる分——本来なら休業期間中の発注で賄うはずだった数量——が、休業前の発注に自動で上乗せされます。
前倒しの量は全商品一律ではなく、商品ごとの需要予測に基づきます。よく売れる商品は厚く、動きの遅い商品は必要最小限に。「連休前だから全部1.5倍」という一律積み増しと違い、連休明けの残り在庫を抑えながら休業期間を乗り切る形になります(積み増し量の考え方は「年末年始・GW前の積み増し発注で毎回困っている」で詳しく解説しています)。
入庫の山を均す:発注を「分けて前に寄せる」
前倒しや大型発注で入荷が特定日に集中しそうな場合、次回以降に発注する予定だった分の一部を先の便に前倒しすることで、入庫量の山を均せます。
ここで大事な区別がひとつあります。これは「1回の発注を複数回に分けて納品してもらう」機能ではありません(それは分納の領域です)。入庫平準化は発注のタイミング側を調整するアプローチで、仕入先との分納の取り決めがなくても使える点が実務上の利点です。
前倒しは「無駄になりにくい」買い方
前倒しで買っているのは、埋め草ではなく「どうせもうすぐ必要になる分」です。将来の発注の先取りなので、余計な在庫として残りにくい——この性質は、仕入先の最低発注金額を満たすための自動追加(→最低発注金額・重量ルール)と同じ考え方です。「α-発注」の各種調整は一貫して「前倒し優先」で設計されています。
活用シーン
シーン1:年末年始・GW・お盆の前倒しを自動化する 休業期間を登録すれば、対象仕入先の全商品について前倒し分が計算されます。→「仕入先の休業日・長期連休を考慮して発注リストを作りたい」
シーン2:倉庫の受け入れ能力に合わせて入荷を組む 1日の入庫処理能力に限りがある倉庫で、入荷の山谷を均し、残業と手待ちの波をなくします。
シーン3:長期リードタイム品の「節目」を守る 船便のスケジュールや現地休業(春節など)に合わせ、節目を逃さない前倒しが自動で組まれます。→「海外仕入・輸入商材の発注が複雑で困っている」
よくある質問
Q. 前倒しすると、在庫金額は一時的に増えませんか? A. はい、前倒し期間の分だけ一時的に在庫は膨らみます。これは「休業中の欠品」を避けるための意図的な持ち方で、需要に基づく必要量に限定することで膨らみ幅を最小にする、という設計です。膨らみの度合いは効果試算・運用の中で確認できます。
Q. 入庫平準化は、どの単位で調整されますか? A. 調整の粒度・設定方法は運用設計の中でご案内します。まずは「入荷がどの程度集中して困っているか」(曜日・物量)の実態をお聞かせください。
Q. 前倒しの判断を人が上書きできますか? A. できます。推奨発注量は確定前に調整可能で、前倒し分も含めて計算根拠を確認したうえで判断できます。
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