毎年12月、発注担当者は同じ問いに直面します。「年末年始、結局いくつ頼んでおけばいいのか」。
仕入先は2週間止まる。売上はむしろ増えるかもしれない。多めに頼めば安心だが、1月に在庫の山が残った昨年の記憶もある——。連休前の積み増し発注は、発注業務の中でも最も判断が重く、最も「答え合わせ」がしにくい仕事です。
この記事では、積み増し量の決め方を整理したうえで、「一律◯日分」がなぜ失敗するのか、そして商品ごとの積み増しをどう自動化できるかを解説します。
課題の解説:積み増し量は「3つの数字」の合成
連休前に必要な発注量は、分解すると次の3つの合成です。
- 休業期間中に売れる分:仕入先が止まっている間も、自社の販売は続く。その期間の需要
- 休業明けの入荷までに売れる分:連休明けに発注しても、入荷はさらにリードタイム分だけ先になる。その間の需要
- ブレへの備え:連休時期は需要も物流も平常時よりブレる。読み違いに備える上乗せ
つまり積み増しとは、「無防備な期間」が一時的に長くなることへの対応です。しかもこの3つはすべて商品ごとに違います。よく売れる商品と月に数個の商品では必要量がまるで違い、リードタイムが3日の仕入先と3週間の仕入先でも話が変わります。
「一律◯日分」がうまくいかない理由
多くの現場の実際の運用は「全体的に10日分多めに」といった一律の積み増しです。これが毎年同じ失敗を生みます。
- 動きの速い商品:10日分では足りず、連休中盤に欠品。書き入れ時の売り逃しになる
- 動きの遅い商品:10日分が数カ月分の在庫に化け、1月の倉庫と資金繰りを圧迫する
- 翌年:反省して「今年は7日分に」と全体を絞ると、今度は売れ筋が欠品する
問題は日数の選び方ではなく、一律であることです。商品ごとの需要の速さを無視した積み増しは、どの日数を選んでも「足りない商品」と「余る商品」を同時に生みます。
一般的な対処法と、その限界
- 昨年と同じ量を頼む:昨年と今年で売れ筋が入れ替わっていれば外れる。昨年の量自体が正しかったかも検証されていない
- 売れ筋だけ個別計算、残りは一律:現実的な折衷案だが、「残り」の中の伸び盛り商品が欠品し、衰退商品が積み上がる
- Excelで全商品計算:商品ごとの日販×休業日数+αを計算するシートを作る。理屈は正しいが、数千商品×毎連休の維持は重く、担当者の残業で支えることになる
「α-発注」でのソリューション
「α-発注」では、連休前の積み増しが特別な作業ではなく、通常の発注計算の延長として処理されます。
設定:休業期間を登録するだけ
仕入先ごとの休業期間(年末年始・GW・夏季休暇など)を発注カレンダーに登録します。設定はこれだけです。積み増し量の計算のために特別なシートを作る必要はありません。
計算:商品ごとの積み増しが自動で組まれる
登録された休業期間をもとに、連休前の発注リストでは次が自動で行われます。
- 休業期間と休業明けの入荷までの期間、つまり一時的に長くなった「無防備な期間」の需要が、商品ごとの需要予測に基づいて発注量に上乗せされる
- 需要のブレが大きい商品には、その分の備えが安全在庫の計算として織り込まれる
- 年末商戦などで売上自体が増える商品は、季節性の学習やイベント設定で需要側の山も反映できる(仕入が止まる話と、売れ方が変わる話は別の設定として扱えます)
- 発注が特定日に集中しそうな場合は、次回以降の発注予定分の一部を先に発注する形で入庫の山を均す設定もあります(→発注の前倒しと入庫の平準化)
結果として、よく売れる商品は厚く、動きの遅い商品は必要最小限に——という商品ごとのメリハリのついた積み増しが、通常の発注確認と同じ流れで出てきます。
確認:連休前にやることは「重点商品のチェック」だけ
担当者の連休前の仕事は、リストの中で金額の大きい商品・欠品させたくない重点商品の前倒し分を確認することに絞られます。全商品の積み増し計算に追われる12月は終わります。
連休前発注の逆算タイムライン(実務の目安)
積み増しは「いつ発注するか」も重要です。休業2週間・リードタイム1週間の仕入先を例にした逆算の目安です。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 休業1カ月前 | 仕入先の休業期間を確認し、カレンダー設定を最新化する |
| 休業3週間前 | 重点商品の需要見込みを確認(新商品・伸び盛り商品は特に) |
| 休業2〜1週間前 | 積み増しが織り込まれた発注リストを確認・確定(入荷が休業前に間に合う最終タイミングから逆算) |
| 休業明け | 実績と在庫を確認。翌年に向けて「積み増しが多すぎた/足りなかった商品」を検証 |
「α-発注」では、このうち発注量の計算部分が自動化されるため、人の作業は確認と検証に集中できます。
よくある質問
Q. 連休中の売れ方は平常時と違います。それも考慮されますか? A. 昨年の同時期の実績がある商品は、季節性として売れ方の変化が学習に反映されます。加えて、セールや特売など個別の要因はイベント設定で織り込めます。
Q. 積み増しした結果が正しかったか、後から検証できますか? A. 在庫と欠品の推移は管理画面で継続的に確認できます。「連休明けに在庫がどれだけ残ったか」「欠品した商品はどれか」を商品ごとに振り返れるため、翌年の設定改善につながります。
Q. 仕入先ごとに休業期間がバラバラで、把握しきれていません。 A. 休業日の登録は導入時に弊社が伴走します。休業情報が集まっていない仕入先は、判明したタイミングで随時更新すれば次回の計算から反映されます。
連休前の発注準備のお悩みは、無料運用診断でご相談ください。 商談の中で18問の診断にお答えいただくと、その日のうちに「貴社の場合の運用の形」をまとめた仮運用設計案をお渡しします。 無料運用診断を申し込む →
関連ページ
- 仕入先の休業日・長期連休を考慮して発注リストを作りたい(休業日を考慮する仕組みの全体像)
- 発注サイクル・発注除外日・仕入先休業日の設定(機能紹介)
- セールのたびに発注量の手計算で困っている(需要側の山の織り込み)
東京大学発の