週に10個しか売れない商品。なのに、発注は100個単位でしか受けてもらえない。1回頼めば10週間分——。
発注ロットの大きい商品は、「必要な分だけ仕入れる」という発注の大原則を、入口で壊してきます。頼めば在庫の山、頼まなければ欠品。この二択を迫られ続けている方に向けて、ロットが在庫を膨らませる構造と、制約の中で在庫を最小化する方法を解説します。
課題の解説:ロットの半分は、常に在庫になっている
ロットと在庫の関係には、シンプルな法則があります。ロット単位で発注を繰り返す商品の在庫には、平均してロットの半分が常に乗る——これはサイクル在庫と呼ばれる構造です。ロット100個なら平均50個分。売れるのが週10個なら5週間分の在庫が、安全在庫とは別に、構造的に存在し続けます。
被害が大きいのは、動きの遅い商品×大きいロットの組み合わせです。ロットを売り切るまでの期間(ロット÷販売ペース)が長いほど、在庫は「日数」として重くなり、資金と置き場を占領し、期限や型番変更のリスクにさらされます。売れ筋のロットはすぐ消化されるので、実は大きな問題になりません。問題はテールのロットです。
一般的な対処法と、その限界
①我慢して頼まない(欠品を受け入れる):判断としてあり得ますが、なし崩しの欠品は受注機会と信頼を削ります。「持たない」と決めるなら、受注対応への切り替えなど、顧客への見せ方とセットで設計すべきです。
②勘で「まだ足りるか」を見極める:ロット商品の発注判断は「いつ頼むか」が全てですが、数百点のロット品の残量とペースを人が追い続けるのは困難で、結局早めに頼む(=在庫が増える)方向に流れます。
③交渉・仕入先の変更:正攻法ですが、感覚で「ロットが大きい気がする」と言っても交渉になりません。どの商品の最低発注数量(MOQ)が、どれだけの在庫コストを生んでいるかを先に数値化します。
「α-発注」でのソリューション
「いつ頼むか」を、商品ごとに計算で最適化する
ロットが動かせない以上、在庫を決めるのは発注のタイミングです。「α-発注」は、商品ごとの売れるペース・在庫・入荷予定から、ロット品をぎりぎりまで引きつけて頼むタイミングと数量を毎回計算します。「早めに頼んでおくか」という人の安全側バイアスが消えるだけで、ロット品の平均在庫は目に見えて変わります。
丸めの判断が、感覚からルールになる
必要量とロットの間の切り上げ・切り捨ては、欠品リスクと在庫負担を天秤にかけた判断です。「α-発注」では発注単位・最低発注数を商品ごとに設定でき、丸めを織り込んだ「そのまま発注できる数字」が出てきます(→仕様はケース単位・最低発注数の自動調整、換算作業の解消は入数に丸めた発注リストを作りたい)。
持ちすぎを防ぐガードをかける
切り上げで在庫が積み上がりやすい商品(動きの遅い商品・単価の高い商品)には、在庫方針や上限の目安でガードをかけられます(→商品グループごとの在庫方針設定)。「ロットだから仕方ない」と諦めていた在庫に、商品ごとの歯止めができます。
「重いロット」を数字で特定し、交渉材料にする
在庫の分析(→在庫・発注の品質分析ページ)で、在庫日数の長い商品を特定すれば、「このロットが年間いくらの在庫を寝かせているか」が定量化できます。ロット緩和の交渉、複数商品の抱き合わせ発注、仕入先の見直し——打ち手の優先順位を、感覚ではなくデータで決められます。
活用イメージ:メーカーロットに苦しんでいた理美容・サロン用品卸
理美容・サロン用品卸のAL社(商品点数 約5,000、メーカー直仕入が中心で最低ロットの大きい商品が多い)のモデルケースです。
導入前:ロット品は「切れる前に早めに頼む」が担当者の習慣になり、動きの遅い専門商材の在庫日数が長期化。一部は使用期限切れの廃棄も発生していました。どの商品のロットが重いのかは、感覚でしか把握されていませんでした。
導入後:ロット品の発注タイミングが商品ごとの計算に置き換わり、「早め頼み」の習慣が解消。在庫日数の長い商品を一覧で特定し、上位の数商品はメーカーとのロット交渉・発注サイクルの見直しを実施しました。
変化:ロット品の平均在庫が引きつけ発注で圧縮され、期限切れの廃棄も減少。「ロットが大きい」という漠然とした不満が、「この商品のロットは在庫◯日分に相当」という交渉の言葉に変わりました。
よくある質問
Q. ロット交渉には、どんな材料を持っていけばよいですか? A. 「このロットだと在庫◯日分になり、年間◯円の在庫負担になる」と数値で示すのが効果的です。あわせて「ロットを半分にしてもらえれば発注頻度を倍にできる」など、仕入先側のメリット(受注の平準化)とセットで提示すると交渉しやすくなります。
Q. 切り捨てて頼んだ結果、欠品したら本末転倒では? A. 丸めの判断は欠品リスクを織り込んで計算されるため、「危ない切り捨て」は起きにくい設計です。それでも守りたい商品は、在庫の下限設定や欠品許容の厳しいグループ設定で個別にガードできます。
Q. あまりに動かない商品は、在庫を持つのをやめるべきでしょうか? A. 選択肢です。ただし受注発注(取り寄せ)への切り替えは、顧客が納期を待ってくれる商品かの見極めが前提です。持つならロット最適化で最小限に、持たないなら顧客対応とセットで——この線引きは無料運用診断でご相談いただけます。
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