期限のある商品の在庫管理は、普通の商品より難易度が一段上です。
普通の商品なら、持ちすぎても「いつか売れる」余地があります。期限のある商品にその猶予はありません。持ちすぎは、時間の経過とともに確実に廃棄に変わります。かといって絞りすぎれば欠品し、取引先との関係に響く。しかも納品期限の商慣行(いわゆる3分の1ルール)により、実際に販売に使える期間は表示された賞味期間よりずっと短い——。
この記事では、期限のある商品の発注がなぜ難しいのかを整理し、廃棄を「発注の段階で」減らす方法を解説します。
課題の解説:期限商品の発注は「時間との三重の戦い」
1. 販売に使える期間は、賞味期間よりずっと短い
賞味期間6カ月の商品でも、6カ月かけて売れるわけではありません。納品期限の商慣行では、賞味期間の最初の3分の1(この例では2カ月)以内に小売へ納品する必要があり、それを過ぎた在庫は正規のルートでは動かせなくなります(商慣行の詳細は「3分の1ルールとは」)。
つまり発注の判断基準は「賞味期限までに売れるか」ではなく、「納品期限までに出荷しきれるか」。使える時間は見た目よりずっと短いのです。
2. 「在庫日数」がそのまま廃棄リスクになる
普通の商品では、在庫日数が長いことは資金効率の問題です。期限商品では、それが廃棄予備軍の量を直接意味します。在庫日数60日の運用で納品期限まで60日を切った商品を仕入れれば、その一部はほぼ確実に廃棄になります。発注量の決め方が、廃棄率を直接決めます。
3. それでも欠品はできない
定番の食品・日用品は、小売・卸売の取引において欠品への要求が厳しいカテゴリです。「廃棄が怖いから絞る」の一律運用は、欠品ペナルティや取引先の信頼低下という別の損失を生みます。商品ごとに「期限リスク」と「欠品リスク」の均衡点を見つける必要があり、これを数百〜数千品について人手で続けるのが実務の壁です。
一般的な対処法と、その限界
- 「回転のいい商品だから大丈夫」という感覚管理:全体としては回っていても、テールの商品・季節の変わり目の商品で局所的な期限切れが出続ける
- 一律「在庫は◯日分まで」ルール:商品ごとの売れ方の差を無視するため、動きの遅い商品では依然として長すぎ、速い商品では欠品する
- 期限が近づいてからの見切り・値引き:出口の対症療法。廃棄よりましだが、粗利を削る。入口(発注量)が変わらない限り毎月繰り返す
共通する問題は、廃棄の原因が「発注時点」にあるのに、対策が「期限が迫ってから」始まることです。
「α-発注」でのソリューション
需要に合わせた「最小限で回す」発注を全商品に
廃棄を減らす最も効果的な方法は、そもそも売れる分しか仕入れないことです。「α-発注」では、商品ごとの需要予測と安全在庫に基づき、売れ行きに応じた必要量が毎回計算されます。「前回と同じ」による惰性の積み上がりが構造的になくなり、在庫日数が需要に釣り合った水準に収れんしていきます。
在庫の上限の目安を設定すれば、「これ以上は積まない」という歯止めも商品単位でかけられます。
期限・ロットの管理と廃棄リスクの把握
日付・ロットの情報を扱う在庫管理と組み合わせ、廃棄リスクのある在庫を把握しながら運用できます。「気づいたら期限が来ていた」ではなく、リスクの段階で販促・出荷優先の判断に回せる形です。
欠品側の守りも同時に
絞る一方では欠品が増えます。欠品させたくない定番品には手厚い在庫方針を、動きの遅い商品には最小限の方針を——という商品グループごとのメリハリ(→在庫方針設定)で、「廃棄を減らしつつ、定番は切らさない」という両立を計算に載せます。導入企業では、廃棄・陳腐化の削減20%以上という実績も出ています(在庫削減15%・欠品削減5%と同時)。
売れ方の変化を早くつかむ
期限商品では、売れ行きの低下への対応の遅れが数週間後の廃棄に直結します。売れ方の低下・在庫の積み上がりの検知(→監視アラート)が、対応の初動を早めます。
活用イメージ:常温加工食品を扱う卸
賞味期間3〜12カ月の加工食品を扱う卸K社(商品点数 約5,000、週次発注)のモデルケースです。
導入前:担当者が期限を意識して発注量を調整できるのは主要な数百品まで。残りは一律の感覚運用で、毎月の棚卸しのたびに期限間近の在庫が見つかり、見切り販売と廃棄が定常化していました。
導入後:全5,000品の発注量が売れ行きに応じて毎週自動計算され、動きの鈍った商品は発注が自動的に絞られていきます。在庫の積み上がりはリスクの段階で検知されるため、見切りの判断も「期限直前」から「まだ売り切れる時期」に前倒しされました。
変化:担当者の期限管理は、全商品の目視から「検知された商品への対処」に変わり、月次棚卸しでの期限切れ発見が大きく減少。廃棄の削減が「出口の見切り」ではなく「入口の発注」から始まる——という順序の転換が定着しました。
よくある質問
Q. 賞味期限の日付データをシステムに入れる必要がありますか? A. 発注量の適正化(需要に合わせて絞る)は、期限データがなくても出荷実績から始められます。日付・ロット単位の在庫管理まで行う場合のデータの持ち方は、貴社の基幹・倉庫の管理状況を伺いながら診断の中で確認します。
Q. 納品期限(3分の1ルール)の残日数を考慮した発注はできますか? A. 期限を踏まえた在庫水準の設計は、商材の期限の長さ・回転に合わせて運用設計の中で行います。貴社の商品構成での最適な設定を、無料運用診断でご相談ください。
Q. 廃棄率はどのくらい下がりますか? A. 現在の廃棄の発生源(発注過剰か、需要変化への遅れか、終売管理か)によって変わります。出荷実績データをお預かりできれば、効果試算の中で在庫水準の変化とあわせてご確認いただけます。
期限のある商品の発注・廃棄のお悩みは、無料運用診断でご相談ください。 必要な期間・項目が揃った出荷実績データ(目安:24カ月分)をお預かりできれば、受領から3営業日で効果試算をご提示します。 無料運用診断を申し込む →
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