SOLUTION|課題別ソリューション

主力商品だけは絶対に欠品させたくない——商品による「守り方の使い分け」の実務

「この商品だけは切らすな」。どの会社にも、そう言われる商品があります。売上の柱になっている定番品、これが無いと他の商品まで買ってもらえない看板商品、大口顧客との取引の生命線になっている商品——。

一方で、現実には全商品を等しく手厚く守ることはできません。全部を厚く持てば在庫が膨らみ、資金と倉庫が悲鳴を上げます。つまり重要商品の欠品対策とは、「何を、どこまで、どうやって守るか」を商品ごとに使い分ける問題です。

この記事では、守るべき商品の決め方と守り方の設計、そしてその使い分けを自動化する方法を解説します。

課題の解説:「全部大事」は「何も守れない」と同じ

重要商品が欠品する現場には、共通の構造があります。

  • 守る対象が明文化されていない:「大事な商品」が担当者の頭の中にしかなく、担当者が代わると守りが途切れる
  • 守り方が全商品一律:安全在庫が「全商品◯日分」で設定され、重要商品もついで買い商品も同じ厚さ。結果、重要商品には薄すぎ、その他には厚すぎる
  • 気づく仕組みがない:重要商品の在庫が減っていることに、発注日になるまで(あるいは欠品するまで)誰も気づかない

裏を返せば、やるべきことは3つです。守る商品を決める。守り方に差をつける。守れているかを監視する。

手順1:守る商品を決める——3つの軸

「重要商品」を感覚で選ぶと、リストが膨らみすぎて結局全部になります。次の3軸で絞り込むのが実務的です。

問い
利益貢献この商品が欠品すると、売上・利益がどれだけ直接失われるか売上上位の定番品(ABC分析のAランク)
代替可能性欠品したとき、顧客は他の商品で済ませてくれるか、離脱するか指名買いされる商品、他社に代替品がある商品
波及影響この商品の欠品が、他の売上・取引関係に波及するかセット販売の核になる商品、大口顧客の指定品

ポイントは、売上金額だけで選ばないことです。売上中位でも「代替が利かず、欠品すると顧客ごと失う」商品は守る側に入ります。逆に、売上上位でも代替品への振り替えが利く商品は、最上位の守りまでは要らないかもしれません。

手順2:守り方に差をつける——欠品許容率のメリハリ

守る商品が決まったら、商品グループごとに「どこまで守るか」を設定します。考え方の軸は欠品許容率(サービスレベル)です。

  • 最重要商品:欠品許容率1%(安全係数2.33)——在庫は厚くなるが、それを許容する
  • 通常商品:欠品許容率5%(安全係数1.65)——標準的な水準
  • ロングテール商品:欠品許容率10%程度——在庫効率を優先する

重要なのは、この差が意思決定として明文化されることです。「最重要200品は99%で守る。その分の在庫増は経営が許容する」という合意があれば、期末の在庫削減の号令が最重要商品の安全在庫まで削ってしまう事故を防げます。守りのコストを見える化することが、守りを持続させます。

手順3:守れているかを監視する

方針を設定しても、需要は変化します。重要商品の売れ行きが伸びれば、以前の設定では足りなくなる。だから「守れているか」を継続的に見張る仕組みが必要です。ただし人が毎日全重要商品を目視確認するのは続きません。欠品リスクの検知が自動で上がってくる形にできるかが分かれ目です。

「α-発注」でのソリューション

「α-発注」では、この3手順がそのまま設定と運用に載ります。

商品グループごとの在庫方針を設定する

商品をグループ(クラス)分けし、グループごとに在庫の持ち方の方針を設定できます。最重要グループは手厚く、通常グループは標準で、ロングテールはリーンに——という欠品許容のメリハリが、全商品の安全在庫・推奨発注量の計算に自動で反映されます。商品ごとの上限・下限の設定や、「この商品は在庫がゼロになったら必ず発注リストに載せる」といった個別の守りも組み合わせられます。

需要の変化に、設定が追随する

安全在庫は出荷実績から継続的に計算されるため、重要商品の売れ行きが伸びれば、必要な備えも自動で厚くなります。「方針は人が決める、水準の計算は仕組みが追随する」という分担です。

欠品リスクは監視が知らせる

欠品リスクが高まっている商品は、監視機能が検知して知らせます。重要商品グループには厳しめの監視条件を設定しておけば、「気づいたら主力が欠品していた」ではなく、リスクの段階で手を打てます。リードタイムの長い商品ほど、この早期検知の価値は大きくなります。

導入企業では、在庫削減15%と欠品削減5%を同時に実現した実績があります(継続率90%)。守る商品を厚く・その他を適正化する、というメリハリの自動化がこの両立の中身です。

活用イメージ:大口顧客の指定品を守る業務用食材卸

業務用食材を扱う卸H社(商品点数 約7,000、うち大口顧客の指定品が約300)のモデルケースです。

導入前:指定品の判断基準が担当者間で十分に共有されていない状態。全商品一律「10日分」の在庫基準で、指定品の欠品が年数回発生し、そのたびに顧客への謝罪と緊急手配が発生。一方で動きの遅い商品の在庫は膨らんでいました。

導入後:指定品300点を最重要グループとして登録し、欠品許容を厳しく設定。監視条件も厳しめにし、リスク段階で発注担当に知らせが上がる体制に。その他の商品は標準・リーンのグループに分け、全体の在庫はむしろ軽くなる方向に。

変化:指定品の欠品は「起きてから謝る」から「リスク段階で防ぐ」に変わり、緊急手配のコストが減少。指定品リストが設定として明文化されたことで、担当交代時の引き継ぎ物にもなりました。

よくある質問

Q. 重要商品は何点くらいに絞るべきですか? A. 会社の規模によりますが、「最上位の守りは全体の数%」が目安です。3割を超えると「全部大事」に近づき、メリハリの効果が薄れます。まず利益貢献×代替可能性で厳選し、運用しながら見直すのが現実的です。

Q. 重要商品の在庫を厚くすると、在庫全体が増えませんか? A. 重要商品の積み増しと、その他の商品の適正化・リーン化を同時に行うのが基本です。全体では在庫を減らしながら重要商品だけ厚くする、という配分の組み替えが自動計算で実行できます。→ 絞る側の考え方は「死に筋・ロングテール商品の在庫を最小限にしたい」へ

Q. 欠品許容率を1%にしても、絶対に欠品しないわけではないですよね? A. はい。統計的な備えは「通常のばらつき」への守りであり、供給停止や需要爆発のような異常事態は監視と例外対応で受け止める設計です。「どこまでを在庫で守り、どこからを運用で守るか」も含めて、無料運用診断の中でご相談いただけます。


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関連ページ

この記事の目次
  1. 課題の解説:「全部大事」は「何も守れない」と同じ
  2. 手順1:守る商品を決める——3つの軸
  3. 手順2:守り方に差をつける——欠品許容率のメリハリ
  4. 手順3:守れているかを監視する
  5. 「α-発注」でのソリューション
  6. 活用イメージ:大口顧客の指定品を守る業務用食材卸
  7. よくある質問
  8. 関連ページ

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